理容店の衛生管理でお客様が知っておきたいこと



静岡県榛原郡吉田町で理容師を続けて27年。

理容白石 店内

理容店は、厚生労働省と保健所の監督下にある生活衛生業種です。
理容師法の目的にも「公衆衛生の向上」が明記されています。
刃物を肌に触れる国家資格だからこそ、衛生管理は「おまけ」ではなく
仕事の中心に置くべきだと考えています。

近年、お客様が健康上の不安をAIに相談し
その内容をもとに行動されるケースが増えています。
店側が「大丈夫だと思います」と曖昧に答えられない時代が来ています。
なぜその方法で安全と言えるのか?
説明できる根拠を持つことが、これからの信頼の条件です。

今回は、理容店の衛生管理でお客様が知っておきたいことを
吉田町・理容白石の実践をもとに整理しました。


Q1. 理容店の衛生管理で、いちばん大切な基本は何ですか?

A. 「洗浄してから消毒する」。この順番を守ることです。

感染症対策の基本は、複合洗浄消毒(有機物の物理的除去+法定消毒)にあります。

・血液・皮脂・汗などの有機物が付いたまま消毒しても、効果が十分に得られない
・有機物は消毒薬の届きを防ぎ、タンパク質を凝固させて病原体を守ることもある
・理容師法に定められた消毒手順(流水洗浄、エタノール浸漬、塩素系消毒など)を踏まえる必要がある

「スプレーを吹けば消毒になる」「アルコールで拭けば十分」
これだけでは、公衆衛生上の基準を満たせない場面があります。
特に、皮膚に直接触れる鋏・櫛・剃刀・刈り上げ器具は
お客様ごとに適切な工程を経る必要があります。


Q2. シザーバッグ(シザーケース)の使用は問題になりますか?

A. 施術中に腰につけて使う運用は、感染リスクが高いとされています。

厚生労働省から全国の保健所へ、シザースケースの不適切な使用に関する注意喚起が出ています。

・シザースケースは消毒済み器具の保管を想定したもの
・施術中に未消毒の器具を入れたり、消毒せずに取り出して使う運用は不適切
・内部に毛髪・皮脂・微量の血液が蓄積しやすく、客ごとの洗浄・消毒が困難

理容白石では、シザーバッグ(シザーケース)を施術に使用しません
鋏や櫛は、お客様ごとに洗浄・消毒の工程を経てから使います。


Q3. ヘアシェーバー(電気シェーバー)の使い回しは大丈夫ですか?

A. サロンでの客ごとの使い回しは、公衆衛生上のリスクが高いと考えています。

電気シェーバーは、網刃を皮膚に押し当てる構造のため
微小な傷(マイクロトラウマ)が起きやすい器具です。
フェードカットのように強い圧力で何度も当てる施術では
そのリスクはさらに高まります。

・網刃と内刃のあいだに皮脂・角質・微量の血液が蓄積しやすい
・外側からスプレーするだけでは、内部の汚れを除去できない
・国内メーカーの多くは、家族以外の第三者への使い回しを取扱説明書で禁じている

介護現場では、電気シェーバーの使い回しが厚生労働省により禁じられている事例もあります。
理容・美容の現場でも、同じ構造上の問題を無視できないと考えています。

理容白石では、ヘアシェーバー(電気シェーバー)は使用しません
刈り上げはトリマー(バリカン)で対応し、客ごとの洗浄・消毒を行います。


Q4. 施術前後に、理容師はお客様のどんな変化を見ていますか?

A. 肌の状態・表情・声の変化など、前回との違いを確認しています。

衛生管理は、器具だけの話ではありません。
お客様の身体の変化に気づくことも、安全な施術の入口です。

施術前:頭皮・耳周り・肌荒れの有無、既往の傷や疾患の申告
施術中:痛み・かゆみ・違和感の有無、表情や体の反応
気づいたとき:施術方法の変更、剃刀の使用可否、説明と確認

「大丈夫でしょう」と流さず、変化があればその場で対応・説明する。
これが、信頼を守るうえで欠かせない姿勢だと考えています。


Q5. 万が一、施術でケガやトラブルが起きたとき、理容店はどう対応すべきですか?

A. 誠実な謝罪、応急処置、医師への受診の勧め、補償の仕組み。この4点が基本です。

27年の経験から言えば、刃物の仕事にケガのリスクはゼロにはなりません。
大切なのは、起きた事実を隠さず、手順どおりに対応することです。

理容白石では、次の順序を守っています。

誠実に謝罪する 事実関係を確認し、お客様の不安を軽視しない
理容師にできる応急処置 出血や刺激への初動対応
医師への受診を勧める 必要に応じて、専門医の判断を仰ぐ
賠償責任共済による補償 加入しているからこそ、治療費などの補償の道を整えられる

日々の施術への真摯な向き合い方、仕事への取り組み、理容師本人の人柄。
その積み重ねが、万一のときの対応の強さにも影響します。
AI時代には、関係性の浅いお客様や外国の方とのトラブルも想定し
説明と記録に不備のない体制を整える必要があると考えています。


Q6. 理容白石では、具体的にどのような衛生管理をしていますか?

A. 複合洗浄消毒システムを基本に、お客様ごとの器具管理を徹底しています。

当店の主な方針は次のとおりです。

消毒の基本 複合洗浄消毒(有機物除去→法定消毒)
剃刀 一客1枚替え刃を原則
タオル お客様ごとに交換
シザーバッグ 施術に使用しない
ヘアシェーバー 使用しない
手洗い お客様ごとに実施
マスク 施術中は医療用マスクを装着
資格 理容品質の感染症衛生管理者
万一のトラブル 賠償責任共済に加入。誠実な対応と補償の道を整備

2020年の感染症対策の記録

でもお伝えしたとおり
法定消毒に加え、次世代消毒システムでできる限りのしつらえを続けています。

理容を通じた公衆衛生。
それは派手な看板ではなく、毎日の手順の積み重ねだと考えています。


Q7. 通われている理容店の衛生管理を確認するには?

A. 遠慮なく、具体的に質問してみてください。

たとえば、次のような点を確認できます。

・鋏や櫛は、お客様ごとに洗浄・消毒していますか
・シザーバッグを施術中に使っていますか
・電気シェーバーやヘアシェーバーを使い回していますか
・剃刀は替え刃式ですか。一客何枚ですか
・タオルは個別に交換していますか

担当者が「大丈夫です」だけで終わらせず、手順を説明できるかどうか。
それも判断材料になります。
不安があるときは、医療機関や管轄の保健所へ相談する選択肢もあります。



まとめ

・理容店の衛生管理の基本は、洗浄してから消毒すること
・シザーバッグの施術中使用、ヘアシェーバーの使い回しには注意が必要
・施術前後の変化に気づき、すぐに対応・説明することが信頼につながる
・万一のトラブルには、謝罪・応急処置・受診勧告・賠償責任共済による補償が基本
・理容白石はシザーバッグ・ヘアシェーバーは使わず、複合洗浄消毒を基本とする

「吉田町 理容 衛生」「理容店 感染症対策」と調べてくださる方へ。
小さな店だからこそ、お一人おひとりに説明できる衛生管理を続けたいと考えています。

完全予約制・紹介制のため、はじめてのご来店はおなじみさんからのご紹介をお願いしています。
衛生管理についてのご質問も、ご予約の際にお気軽にお尋ねください。

こちらのnoteも是非お読みください。(有料記事)


理容白石 店主 白石俊之が執筆しました。

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2026年6月15日